takabailandoのブログ

I hope this is like TEDxMe+: ranging from numeric programming to business value proposition.

米国の農業領域におけるIT技術の使われ方から日本の農業を考える

 本日は農業の分野でどういったサービスが海外で展開されているのかご紹介しつつ、データがどう活用されるといいのか私見をお伝えしたいと思います。

 日本の農業は専業農家よりも兼業農家の数が圧倒的に多い中で紆余曲折してきた背景があります。兼業農家にとって販売チャネルの確保や農業設備投資を個人で効率的に行うことは難しく、顧客と農家を結ぶプラットフォームとしての農協は非常に効率的な面がありました。つまり、農協が中心となって農業設備の購入・ローン・保険などが展開されています(一部は農協を通さない個人・法人があるようですが)。

 農協はこういった農家の声を効果的・効率的に反映し、競争力のある日本の農業を構築するインフラ的な存在ではあったものの、専業農家であっても兼業農家であっても1票与えられるため、農業を国家政策として集中投資するというまでにはいかないという悩みがあったと思います。

 そういう中で今回のTPP環太平洋戦略的経済連携協定)の話になり、日本の農業をどうすれば国際的に競争力のあるものに育てて行くのか重要な論点になっています。ただ、先ほどお伝えしたとおり、専業農家の声が届きにくい構造であったり、兼業農家の預金が大切な農協からすると、うまく舵取りができていないわけです。

 日本の農業生産物の質の高さは非常に高く、世界的にも高付加価値商品として扱われていると聞きます。また、若い世代も多くはないですが農業に関心・興味を持って参画しているようです。

 そうした中で、高付加価値農作物を栽培・販売しながらも、コストを抑え、収益性の高い農業構造にするには、IT技術・通信技術をどう使えばいいか日々考える事が多いのがここ最近です。

 で、色々調べていると(生産事情はだいぶ違いますが)米国ではハイテク産業・情報通信産業第一次産業が密に連携し、規模の経済を達成しているようなので、深く調べて行きたいと思ってます。

 

1. PrecisionHawk社:http://precisionhawk.com

 まず、人工衛星や航空機から観測するリモートセンシングという技術を駆使して、温度・湿度・風速などのデータを収集するサービスがあります。日々の農業で忙しい農家にとっては生産性を左右する情報であるものの、実際の作業に忙しい農家からするとこういうサービスを受けることで時間の節約、生産高の向上などが可能なようです。

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2. FarmLogs社:http://farmlogs.com

一方、農地の生産性指標の見える化だけではなく、農家の経営支援も行っている企業もあります。FarmLogs社のサービスがこれにあたります。農家はスマホタブレット経由で降雨量や気温の確認や例年のデータとの比較、それに収穫高と収益も確認することができるようです。

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3. Farmeron社:https://www.farmeron.com

最後に農家(主に酪農家)専用の財務管理ツールがあります。基本的にバックエンド業務の効率化と共有がメインなサービスですが、これから農家同士のパフォーマンス比較や地域別のパフォーマンスの違いを理解するのにも有効だと思います。

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米国ではまだまだ画期的なサービスが展開されていますが、日本ではまだまだ第一次産業においてIT技術を経営に使っているようには見えないのが現状です。個人的にはこれから農業、しいては食の安全を提供するサービス、には注目していきたいですし、この分野はビッグデータをより意義ある形で価値化できると信じています。