takabailandoのブログ

I hope this is like TEDxMe+: ranging from numeric programming to business value proposition.

ビッグデータビジネスの動向:健康管理編(2)

2013年11月14日の日経新聞によると、2011年の国民総医療費が38.5兆円となり、一人当たり年30万円必要となっています。一月約2万5千円も費やしている計算になります。医療費の内訳を年齢別でみると、65歳以上が約56%と最も多くなっています。一方、医療費の財源はというと、国民と企業の負担分で約49%となっっています。更に進行する高齢化、少子化の波は将来の医療負担額を増大させ、私たちの将来の生活の質を変える可能性が高いわけで、医療制度の効率化と予防医療の発展による医療費負担の軽減が重要なテーマになっています。

国民医療費、過去最高の38.5兆円 1人30万円突破 (日経新聞 2013/11/14)

  こういった背景の中、IT技術の発展とビッグデータの利活用が注目されています。例えば、医療・健康管理においてIT技術は、電子カルテに始まり、モバイル端末を使ったフィットネス管理や血圧や脈拍などの基本情報の記録・共有が挙げられます。

 私が個人的に注目しているものに、IT技術の発展、特にモバイル端末とセンサー技術の発展により様々な情報が意識的にかつ無意識に集められるようになったことで個人の健康がストーリー化されていく、ということです。

 前回のスレッドでご紹介したGinger.ioが提供するアプリを例に見て行きたいと思います。経験豊富な医師の方々は問診・触診を通じて患者の病状を理解していきますが、皆さん診察を受ける際に自分の症状をうまく説明できないことってありませんか?問診の現場はやはり患者と医師のコミュニケーションが大切になってきますが、自身の情報をうまく伝えられない状態は避けたいものです。Ginger.ioアプリを使うと、患者の脈拍はもちろん、通話パターンや歩行距離などのモニタリング結果を計測してくれたり、このアプリ自体が健康診断プラットフォームとして機能するため、医療従事者が患者の健康状態を多次元にかつほぼリアルタイムにトラッキングできるようになります。

 このアプリの重要な点は二つあると思います。まず一つは、個人の健康状態のデータが過去長期間にまたがって多次元で収集されることで、患者自身が気づいていないパターンを理解することができることです。医師に健康状態を説明する際にも自身の過去データをベースに話すことが可能になるため、問診・触診がよりスムーズに行えるのでは!と思います。

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 もう一つは、患者の行動データや健康状態に関するアンケート調査を分析することで、本来助言すべき患者がだれでいつ助言すべきなのか、といったターゲッテッド医療が可能になるのでは?ということです。

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 ビッグデータの利点は人間が頭で記憶・処理できないデータをベースに客観的に患者を理解できるということ。このビッグデータを使って日本の医療費を減らすとしても、本来受けるべき医療を受けた結果であれば予防医療をベースに自己健康管理を支援することが大切になりますが、そもそも医療体制に無駄なのか、受ける必要もない医療を受けることによる無駄なのか、様々な視点から改善点と改善方法を提示していかなくてはいけないでしょう。

 次回は、IT技術とセンサー技術がさらに発展することでどう患者を理解していくことができるのか、見て行きたいと思います。